『フリーダ』のジュリー・テイモア監督による新作『アクロス・ザ・ユニバース』は、ビートルズの数々の名曲を基に創作されたラブストーリーです。物語は60年代のイギリスとアメリカを背景にしており、無限の可能性を秘めた時代を描いています。監督には無限の創造力がありますが、残念ながらストーリーが弱く、ある種、奇想天外すぎて、映画全体が非常に退屈なものになってしまっています。映画はミュージカル形式で表現され、誰もがよく知る楽曲が使われていますが、ストーリー展開に合わせるために曲がアレンジされており、どっちつかずの仕上がりになっています。加えて、一部の男優の歌唱力が理想には程遠く、本当に聞くに堪えません。現実と幻想を行き来する物語であることは理解できますが、だからといってストーリーが支離滅裂であって良いわけではありません。例えば、プルーデンスがクローゼットに閉じこもるシーンでは、彼女がジョジョに思いを寄せていることを示すカットがたった一つあるだけで、それ以前に彼女の心情についての描写が皆無であるため、全く説得力がありません。
60年代やビートルズなどは「革新」を象徴していますが、だからといって脈絡もなく要素を積み上げていいわけではありません。このような雑なストーリーでは、たとえボノ(Bono)がカメオ出演していても、映画の失敗を救うことはできません。ビートルズの歌詞を薄弱なストーリーに無理やり当てはめる様は、まるでネット上のファンが創作した物語(二次創作)のようです。
